1841年にフランスのリモージュに生まれたルノワールは、生涯約6,000点もの絵画を描いたと言われています。多くのかわいらしい少女の作品を描いていますが、本作《ジュリー・マネ(猫を抱く子ども)》ほど、友人との絆を感じて描いた作品はないかもしれません。
本作のモデルは、ルノワールと同時代に活躍した印象派の女流画家ベルト・モリゾを母に、画家エドゥアール・マネの弟ウジェーヌ・マネを父にもつジュリー・マネです。本作はマネ夫妻がルノワールに頼んで描いてもらったものであり、ルノワールとマネ夫妻が公私ともに親しく交流していたことを物語っています。
ジュリー・マネの穏やかな表情と膝に抱きかかえられている猫のくつろいだ仕草からは、家族の友人であるルノワールに心を開いた、安らかな気持ちが感じられます。
ピエール=オーギュスト・ルノワール
(Pierre-Auguste Renoir、1841~1919)
1854年磁器絵付師の工房で徒弟奉公。1858年機械による陶器絵付けの普及で失業。1861年シャルル・グレールの画塾に学び、シスレーやモネらと交友を深める。1862年パリ国立美術学校に入学。1864年サロンに応募した《ラ・エスメラルダ》が初入選。1874年「第1回印象派展」開催。1876年《ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場》制作。1879年《シャルパンティエ夫人と子どもたち》がサロンで入選、高評価を得る。1880年本作《イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢》制作。1892年《ピアノを弾く少女たち》が国家買い上げとなり栄誉を得る。1907年パリから南フランスに移住、1919年78歳で死去。
監 修 島田紀夫(美術史家/実践女子大学名誉教授)
解 説 島田紀夫(美術史家/実践女子大学名誉教授)
原画所蔵 オルセー美術館
© RMN-Grand Palais(musée d‘Orsay)/ Hervé Lewandowski/distributed by AMF/ユニフォトプレス
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