深い精神性を宿した不朽の名作
「道」は、東山魁夷が国民的画家と呼ばれるきっかけとなった作品です。敗戦後に母と弟を立てつづけに亡くし、絶望のなかで山並みに自分の心を重ねて描いた作品の「残照」が、日展で特選を受賞します。以来、魁夷は風景画家として立つことを決意し、自分の心象を風景に投影させて絵を描くようになりました。「道」はその象徴的な作品です。
本作品には、確立しつつあった「シンプルな画面構成」「青系統の色調表現」の特色が顕著に出ています。取材地は、青森県八戸の種差(たねさし)海岸にある国道です。当時実際にあった建物などを略筆し、象徴性の高い、心象風景のような作品となっています。描かれた上り坂の一本道は、鑑賞する私たちの進む前途や希望と重なり、自分自身を奮い立たせ、また内観させる問いかけをしてくるようです。(付属解説書より抜粋)
解説:松本 猛(美術評論家、長野県信濃美術館 東山魁夷館前館長)
原画所蔵:東京国立近代美術館
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